
中国のメーカーNeusoftが開発しているUTM、「NISG3000」の特徴や評判について徹底調査しました。
導入するメリットやデメリットに加え、対応できる企業規模や性能についても紹介します。
目次
Neusoftの特徴
Neusoftグループ(東軟集団有限公司)は、1万3000人の従業員を抱える中国の巨大企業のひとつです。オフショア開発やアウトソーシングなど事業を幅広く手がけています。
特に、組み込み機器向けのソフトウエア開発に長年の実績があり、開発するUTMにもそのノウハウが活かされています。
コストパフォーマンスの高い製品
NeusoftのUTMは、価格の割に機能が充実していることが特徴です。
VPN・外部通信の制御・クライアントの保護・サーバの保護と、すべてのセキュリティ機能を1台に統合するというコンセプトで開発されています。
月額7千円以下(レンタルの場合)で設置できるUTMは、現在、WizのスマートUTMとNeusoft以外になく、コスト重視の企業におすすめできる製品のひとつです。
日本向け専用設計を施した海外メーカー製品
UTMに限らず、海外メーカー製の機器では、日本国内のみで使用されている機能やアプリケーションに対応していなかったり、日本語のマニュアルが提供されていなかったりします。
Neusoft UTMは日本市場での販売専用に設計されており、ストレスなくUTMの管理ができます。
また、ユーザーの多くが日本国内のユーザーである、mixi(ミクシィ)やcookpad(クックパッド)などのアプリケーションも網羅しており、アプリケーション制御で抜けや漏れが出ることがありません。
クラウドからのリモート管理とレポート
クラウドサービスとリンクさせれば、Neusoft UTMを遠隔から操作することもできます。
社外にいたとしても、ブラウザベースの管理画面から設定変更などを行えます。
また、ネットワークの状況はリアルタイム監視機能で常時把握されているため、トラフィックやよく利用されているアプリケーション・URLの情報をいつでも確認できます。
Neusoft UTMの機能
Neusoft UTMに搭載している機能には、次のようなものがあります。
- IPS・ファイアウォール
内部ネットワークへの不正アクセスを遮断します。Neusoft UTMのIPSエンジンは国際特許技術が用いられています。
- アンチウイルス
メール受信やファイルのダウンロード時にウイルスやマルウェアを検知、駆除します。プログラムの挙動により不正プログラムを検出する、ヒューリスティックウイルススキャン技術が搭載されています。
- アンチスパム
メールにタグ付けし、迷惑メールは受信しないように防御します。メールの送受信者・件名・メール本文に対してフィルタリングします。
- URLフィルタリング
カテゴリーごとにWebサイトを分類し、有害なサイトであればアクセスを禁止します。Webサイトのアドレスと内容の両面からフィルタリングします。
- VPN
拠点間通信や外部から内部への通信を暗号化し、情報漏えいを防ぎます。
- アプリケーション制御
日本国内および世界中でよく使用される、2200種類以上のネットワークアプリケーションを識別できます。各アプリケーションに対し、社内での利用を制御できます。
- DNS保護
フィッシングサイトやオンライン詐欺から企業イントラネットを守ります。
- プロトコル異常検査
不正パケットによる攻撃をブロックし、イントラネットやサーバを保護します。
- Dos/DDos攻撃からの防御
特定のサーバなどに大量のアクセスを集中してダウンさせるDos/DDos攻撃から防御します。SYNフラッド攻撃・UDPフラッド攻撃・ポートスキャンなど54種類のDos/DDos攻撃に対応できます。
- サーバ情報保護
メールサーバ・Webサーバ内の重要情報を保護し、情報漏えいを防ぎます。また、企業内のサーバソフトウェアへの攻撃をブロックします。
このようにNeusoft UTMには、価格の割にさまざまな機能が搭載されています。
Neusoft UTMの性能
Neusoft UTMの性能面では、ファイアウォールスループットの数値が他社のUTMと比較しても、優れている点が特徴です。
ファイアウォールスループット | VPNスループット | IPSスループット | AVスループット | |
---|---|---|---|---|
NISG 3000 | 2.7 Gbps | 110 Mbps | 200 Mbps | 205 Mbps |
すなわち、ファイアウォール作動時の動作速度が速いため、新規接続の際にもたつかずストレスを感じにくくなります。
Neusoft UTMの設置・インストール
Neusoft UTMを設置する時は、技術者でなくてもセキュリティ設定ができるように、設定ウィザードが用意されています。
端末のサイズは、幅208mm✕奥行180mm✕高さ38mmとA5サイズのノートを積み重ねた程度の大きさのため、机の上においても邪魔になりません。
Neusoft UTMを導入するメリット・デメリット
Neusoft UTMを購入するメリットとデメリットを紹介します。
Neusoft UTMのメリット
Neusoftは、中国最大のITソリューション・サービスプロバイダー企業ですが、IT分野における日中協業のため日本法人NEUSOFT Japanを設立しています。
このため、海外メーカーの製品にありがちな、日本国内企業で使用すると使いにくいうことがなく、ストレスなく導入できます。
VPN・外部通信制御・クライアント保護・サーバ保護と、高機能モデルとほぼ同等の機能を搭載している一方、価格が安価なためコストパフォーマンスに優れています。
Neusoft UTMのデメリット
Neusoft UTMの使用感などの口コミやレビュー情報に乏しく、未知数の部分が多いUTMです。
月額制でのレンタル契約も可能なため、まずはレンタルで試用してみるのも良いでしょう。
また、いくら日本法人があるとはいえ、日本語のドキュメント類は、中国語または英語からの翻訳で作成されているものも多く、日本語に誤りがあったり分かりにくかったりする部分があります。
Neusoft UTMの対応規模は?
Neusoft UTMで対応できる範囲はどのくらいでしょうか。Neusoft UTMを導入したときに効果の高い企業規模を紹介します。
個人・小規模企業 (従業員数20人未満) |
小規模企業 (従業員数20~100人) |
中規模企業 (従業員数100~300人) |
大規模企業 (従業員数300人以上) |
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Neusoftによる対応規模 | ★ | ★ | ||
本サイト検証による導入効果が高い企業規模 | ★ | ★ |
参考:
- 登録可能ユーザー数: 15(NISG 3000-N3の場合)、30(NISG 3000-N5の場合)、100(NISG 3000-N7の場合)
- 最大同時接続数:200,000
Neusoft も、SOHOや中小企業に最適なUTMと説明しているとおり、小規模企業に特化したUTMとして設計されています。
Neusoft UTMの価格相場は?
Neusoft UTMは、中小企業でも導入しやすい価格を設定しています。
参考価格 | |
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NISG 3000 | 約29万円 月額6,900円(レンタル時) |
(2020年4月25日現在 参考価格)
参考価格です。販売店により価格設定が大きく異なります。
まとめ
NeusoftのUTMの特徴や評判について解説してきました。
他の海外メーカーのUTMでは、設計や仕様はそのままに日本市場へ投入していますが、NeusoftのUTMは日本専用設計になっています。
NEUSOFT Japanの社長も「中国本社への窓口ではなく、日本企業になる」と公言しているとおり、日本のメーカーが設計するUTMほどではないものの、良く日本企業のしくみを研究した上で設計しているUTMです。
コストパフォーマンスに優れているため、値段重視で選ぶなら有力な選択肢のひとつになりそうです。